
タイには一年を通じてさまざまな伝統的な行事やお祭りがあります。
季節ごとの代表的なお祭りには、「ソンクラーン(水かけ祭り)」や「キンジェー(ベジタリアンフェスティバル)」、「ロイクラトン祭り(灯籠流し祭り)」などがあります。
その中から、今回は「ロイクラトン祭り(灯籠流し祭り)」の歴史や楽しみ方、おすすめの開催地、そしてコムローイについてもご紹介します。
タイの美しい水上祭典「ロイクラトン祭り」

タイの秋の風物詩といえば「ロイクラトン祭り(Loy Krathong Festival)」です。
水の精霊に感謝を捧げ、願いを込めた灯籠を川や池に流すこの祭りは、タイ国内の様々な場所で開催され、観光客にも大人気なお祭りです。
ロイクラトン祭りとは?

「ロイクラトン」とは、タイ語で「ロイ(浮かべる)」「クラトン(灯籠)」という意味を持ちます。
このお祭りでは、バナナの葉やパンで作られた小さな灯籠(クラトン)を川や池に流し、水の精霊「プラ・メー・コンカー」に感謝の気持ちを伝えます。
また、厄払いとともに、願い事を込めて流すことで幸福を祈る行事でもあります。
この伝統行事は、スコータイ王朝時代(約800年前)から続くとされ、現在ではタイ全国で盛大に行われています。
開催時期と場所
ロイクラトン祭りは、毎年タイの旧暦12月の満月の夜に開催されます。
2025年は、11月5日(水曜日)と11月6日(木曜日)に開催予定です。
ロイクラトン祭りの楽しみ方
1. クラトン(灯籠)を流す
ロイクラトンの最大の魅力は、願いを込めて灯籠を流すことです。
多くの場所でクラトンが販売されており、自分で手作りする体験ができる場所もあります。
幼稚園や学校でも、クラトン作りは定番です。
最近ではパンでできたクラトンなどもあり、公園の池に灯籠を浮かべるイベントなども開催されています。

2. 街中のパレードやイベントを楽しむ
バンコクやチェンマイでは、華やかなパレードや伝統舞踊のステージが開催されます。
タイの美しい伝統衣装(男性用の「スア・プララーチャターン」と女性用の「シワーライ」がある)も見どころの一つです。

3. 花火やライトアップの鑑賞
ロイクラトンの夜は、川沿いや寺院で花火が打ち上げられたり、特別なライトアップが行われる場所もあります。
ロマンチックな雰囲気を楽しみたい方におすすめです。

4. コムローイ祭りに参加する
チェンマイでは、毎年コムローイと呼ばれるランタンを空に飛ばすイベントが開催されています。
コムローイ祭りに関しては、この記事の後半で詳しくご紹介します。

おすすめの開催地
ロイクラトン祭りはタイ全土で行われますが、特におすすめの開催地をご紹介します。
バンコク
- チャオプラヤー川沿いのホテルや寺院でのイベント
- ワット・アルンやアジアティーク周辺では美しいライトアップ
- ベンジャシリ公園やルンピニー公園での灯籠流し
アユタヤ
- 遺跡のライトアップと灯籠流し
チェンマイ
- コムローイを夜空に上げる幻想的なお祭り「イーペン祭り(Yi Peng Festival)」
- ターペー門付近での灯籠流し
コムローイ祭り(イーペン祭り)とは?

タイ北部の古都チェンマイでは、ロイクラトン祭りの際に「コムローイ(Khom Loy)」というランタンを空に飛ばす、幻想的なランタン祭りが開催されます。
これは、タイの伝統行事「イーペン(Yi Peng)」の一環で、地元では「イーペン祭り(Yi Peng Festival)」と呼びます。
日本人や観光客の間では「コムローイ祭り」が一般的な名称です。
夜空に無数のランタンが浮かぶ光景は、一生に一度は見てみたい絶景のひとつです。
コムローイとは?

「コムローイ」とは、熱気球のように火を灯して空へ飛ばす紙製のランタンのことを指します。
満月の夜に空へ放つことで、厄払いをし、幸福や願い事を天へ届けるという意味が込められています。
コムローイはタイ北部のランナー文化に根付いた伝統行事ですが、ディズニー映画の「塔の上のラプンツェル」で世界的に有名になりました。
現在では数千のランタンが一斉に上がる光景を見ることができる、観光客向けの有料イベントが行われています。
夜空にゆっくりと舞い上がるランタンの光は、まるで天の川のように美しく、訪れる人々を魅了しています。

開催時期
コムローイはロイクラトンと同時期に開催されます。
2025年は、11月5日(水曜日)と11月6日(木曜日)に開催予定です。
開催場所

地元の方々が参加する入場料無料のイベントなどもありますが、あくまでも地元の方たちが祈りを捧げるために個人的に上げるイベントのため、コムローイが一気に上がる光景を見ることはできません。
どのような目的で訪れたいかによりますが、「塔の上のラプンツェル」のような光景を観るなら、外国人向けの有料イベントへの参加がおすすめです。
以下の会場はいずれも、チェンマイ市内からは車で約1時間〜約2時間ほど離れた山奥の会場です。
参加する場合は、往復送迎付きのツアーなどを予約することをおすすめします。
各会場の収容人数や詳細は変更される可能性がありますので、最新情報を確認してください。
開催場所リスト
1. イーペンランナー・インターナショナル(Yeepeng Lanna International)
開催場所:メージョー大学(Maejo University)
収容人数:約4,000人
昔からの伝統ある儀式が長時間行われ、花火などの演出のない厳かな会場です。
水面に反射するランタンが美しくて有名ですが、撮影のために席を外す人が多くなり、最近は規制されているという情報もあります。これを目当てに行かれる場合は詳細の確認をおすすめします。
2. チェンマイスカイランタンズフェスティバル(Chiang Mai Sky Lanterns Festival)
開催場所:ロイヤルチェンマイゴルフ場(Royal Chiang Mai Golf Resort)
収容人数:約3,500人
参加者には日本人が多く、日本語でランタンの上げ方の説明があるのでランタンが燃える事故が少ない、食事場所やトイレが清潔、一斉上げができるなど、安心して参加できる会場です。
「小学校の運動会のような会場だった」という声もあるので、タイっぽさはやや欠けそうです。
3. ランナー王朝コムローイ伝承祭り(Lanna Kingdom Khomloy Tradition Festival)
開催場所:CADカルチャーセンター(The CAD Culture Center)
収容人数:約4,000人
参加者は国際的で、アナウンスは英語と日本語と中国語です。会場全体がアジアンチックでタイっぽさを満喫できます。
花火の演出などもあり華やかですが、ランタンの上げ方の説明がないので一斉上げができず、ランタンが燃える火事が多発していました。
また、水道の水が出なくなりトイレが詰まったり、手を洗うこともできなかったりと、清潔感に欠けていました。
4. ガッサンレガシー(Gassan Legacy)
開催場所:ガッサンレガシーゴルフコース(Gassan Legacy Golf Course)
収容人数:約3,000人
紹介した中では一番収容人数が少ないため、アットホームで危険や混雑が少ない会場です。
母子での参加でも、安心できたという声もあります。
私が2024年のロイクラトンで参加した「ランナー王朝コムローイ伝承祭り(Lanna Kingdom Khomloy Tradition Festival)」についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
参加方法と注意点

1. チケット購入について
大規模なコムローイイベントに参加する場合は、事前にチケットの購入が必須です。人気のイベントのため、数ヶ月前から売り切れることもあります。早めの予約をおすすめします。
2. 服装
タイの伝統的なイベントのため、伝統衣装または私服の場合は露出の少ない服装(肩や膝を隠す)が望ましいです。
3. 禁止区域とマナー
近年、環境保護の観点から、ランタンの飛ばしすぎが問題視されています。一部のエリアでは、環境に優しいランタンを使用するなどのルールが設けられていたり、指定場所以外でのランタン上げは法律で禁止されています。
チェンマイの市街地などは禁止区域に指定されています。
美しい反面、燃え落ちたコムローイから山火事や家屋が燃える事故などが発生しています。後世にもこの美しい伝統を繋いでいくためにも、マナーを守って参加しましょう。
まとめ

ロイクラトン祭りは、優しい火の光による美しい光景を観ることができる唯一無二の行事です。
バンコク市内でも様々な所でイベントが開催されるので気軽に参加できますよ♩
また、チェンマイのコムローイ祭りでは、まるで映画のワンシーンのような幻想的な光景を観ることができます。
日本やバンコクに住んでいると、足を伸ばすのに労力が必要ですが、大変貴重な経験になる特別なイベントです。
夜空に舞い上がるランタンを眺めながら、大切な人と一緒に願いを込める瞬間は、一生の思い出になること間違いなしです!
安全や環境に注意しながら、ぜひ一度参加してみてくださいね♩