シンガポールの車が高いのは、現地日本人のあいだでは常識となっているのですが…
「いったい何にどれくらいコスト掛かってるの?」
「なぜシンガポールでは車の値段が高くなるの?」
という疑問を完全に解消するための記事。
税金とかプレート代とか、日本とはあまりに違いすぎる購入システム。
その仕組みをわかりやすく解説していきます。
シンガポールの車ってどれくらい高い?
ご存知ない方のために基本事項の復習から。
シンガポールで車を買うと、一体どれくらい高いのかについて少し。
庶民の味方!ホンダ・フィットはシンガポールでいくら??
長々と書いても仕方ないので例を出してわかりやすく説明しましょう。
誰もがご存知のホンダ・フィット
シンガポールで新車を買うといくらするでしょう??
なんと…
SGD85,000~SGD95,000
つまり日本円にすると…
680~760万円!!!!
日本だとどれだけ高くても200万円でしょ!?
What a crazy price!!
※2018年3月時点の為替・価格情報です
トヨタ・カローラ(海外モデル)はシンガポールでいくら??
さらに誰もがご存知のトヨタ・カローラ(東南アジア向けの海外モデル)
シンガポールで新車を買うといくらするでしょう??
なんと…
SGD100,000
つまり日本円にすると…
800万円!!!!
日本だとどれだけ高くても250万円でしょ!?
ムリポ・・・(´・ω・`)
※2018年3月時点の為替・価格情報です
BMW Z4 はシンガポールでいくら??
最後に高級車(?)
BMW Z4 の新車はいくらかというと…
なんと…
SGD250,000~SGD350,000
つまり日本円にすると…
2000~2800万円!!!!
日本だとどれだけ高くても1000万円でしょ!?
完全に無理ゲーです(´・ω・`)
※2018年3月時点の為替・価格情報です
価格の内訳(税金とかいろいろ)
つづいてなぜシンガポールで車を買うとこんなにも高いのか、その理由について。
価格の内訳をみていくと納得の理由があります。
ちなみに実際にカーディーラーで車を買うときにはすべて込み込みの価格が表示されていますね。
カローラAltisの新車価格・800万円の内訳
カローラAltis (東南アジアモデル) |
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新車販売価格 | SGD 100,000 (約800万円) |
内訳 – 車体価格OMV (①) – COE (税金②) – ARF (税金③) – Excise duty 20% (税金④) – GST 7% (税金⑤) – その他いろいろ (⑥) |
内訳 |
※表は2018年2月のCOE入札結果に基づきます。
① 通称OMV (Open Market Value)のこと。車体価格
② 略称COE (Certificate of Entitlement)。日本でいうところの自動車取得税その1。シンガポール政府の管理するオークションによって価格が決まるため、その時々で違う。
③ 通称ARF (the Additional Registration Fee)のことであり自動車の取得にかかる税金の一種。日本でいうところの自動車取得税その2。累進課税であり「<S$ 20,000 = 100%, S$ 20,000 < S$ 30,000 = 140%, S$ 50,000< = 180%」の税金が発生する。車体価格OMVにたいしてかかってくる。
④ 税金Excise Duty (物品税)が車体価格OMVにたいして20%発生する。シンガポールでは、贅沢品や嗜好品にはGSTの他に税金が別途かけられる。
⑤ GST (消費税みたいなもの)は7%で一律。すべてのサービス・商品に対して一律に発生する税金のこと。
⑥ あとは自動車ディーラーの利益とか、IU (In-Vehicle Unitの略、日本でのETCみたいなもの)の装着代とかいろいろ。
とにかく税金がヤバイ
いろんな税金があってややこしいのですが…
とりあえず説明はあとに回します。
結局のところ車体価格は日本とそう変わりません。
ところが税金がアホみたいに高いっていう…
②〜⑤の税金だけで500万円オーバー!!
もちろんこれはトヨタ・カローラの話なので…高級車になればなるほど税金も高くなります(逆も然り)
ポルシェみたいな高級車を買うと税金だけでかる〜く1000万円を超えちゃいますね。
次項でくわしくみていきますが、この税金②〜⑤は日本でいうところの「自動車取得税+消費税」の合算。
シンガポールという国は所得税とか法人税はひくいものの…こういう贅沢品とか嗜好品は異様に高いのですよね。タバコしかり、お酒しかり…
金持ちと外国人からは容赦なくお金をむしり取ります。
なんという素晴らしい国でしょう!?
なぜシンガポールの車はこんなに高い?
ではなぜシンガポールで車を買うとこんなにも高いのか?という話をすこし。
シンガポールは国土が東京都内くらいの広さしかありません。
こんな狭い国のなかで無制限に車が走るとどうなるか?
すぐに大渋滞が発生してしまいます。
そこでシンガポール政府は考えました。
じゃあ車の台数を規制しよう!!
ということで政府が車の総数を管理することになりました。
そこで生まれたのがCOEやらARFやらの高額な税金だったわけです。
ようは高額な税金を課すことによって、限られたヒトにだけしか車を持たせなくしたのですね。
これらの税金の仕組みについてくわしくは次の項目で解説します。
車の購入にかかる税金の内訳
日本にお住いのかたはあまり興味がないネタでしょうけど…
シンガポールで車を購入する予定のあるかたのために。
車を購入するときにかかる税金の内訳をくわしく説明しておきます。
※2018年2月時点の情報ですので法律改正されていたらゴメンなさい。
【基礎】OMV(Open Market Value)とは?
OMVは税金ではないのですが…重要なのではじめに解説します。
カローラAltis (東南アジアモデル) |
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新車販売価格 | SGD 100,000 (約800万円) |
内訳 – 車体価格OMV (①) → 今ここの解説! – COE (税金②) – ARF (税金③) – Excise duty 20% (税金④) – GST 7% (税金⑤) – その他いろいろ (⑥) |
内訳 |
OMVとはOpen Market Valueのこと。つまり車体の本体価格のことをさします。
決まり方はシンプルで「その車種の輸入価格の平均=Open Market Value」となります。
たとえば、
- 例①トヨタ・カローラ100台を200万円/台でシンガポールに輸入したとしたら…
→ カローラのOMVは200万円 - 例②ベンツE250を平均300万円/台でシンガポールに輸入したとしたら…
→ ベンツE250のOMVは300万円
こんな感じで決まります。
ちなみにOMVには車体価格+シンガポールまでの物流費その他の費用(物流保険)などをすべて含みます。
これをシンガポール政府がとりまとめ公表します。
シンガポールの車に国産はなく、すべて輸入車で成り立ちます。したがって政府の統計だけですべてわかってしまうのですね(密輸されていないことが前提ですが…)。
税金①COE (Certificate of Entitlement)とは?
カローラAltis (東南アジアモデル) |
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内訳 – 車体価格OMV – COE (税金) → 今ここの解説! – ARF (税金) – Excise duty 20% (税金) – GST 7% (税金) – その他いろいろ |
内訳 |
COEとは”Certificate of Entitlement”の略称。
直訳すると”権利証明”ですが…
日本でいうところの自動車取得税みたいな税金ですね。
COEは車のカテゴリーに応じてかかる税金です。
具体的には、
- カテゴリーA (排気量1,600ccかつ130bhpまで)
- カテゴリーB (排気量1,600cc以上か130bhp以上)
- カテゴリーC (タクシーなど商用車)
- カテゴリーD (バイク)
- カテゴリーE (オープンその他)
という5つのカテゴリーに分けられ、それぞれCOE価格はシンガポール政府が行う入札によって決まります。
ちなみに2018年3月のCOE価格は以下のとおり。
- カテゴリーA:S$ 38,000 (約300万円)
- カテゴリーB:S$ 37,010 (約300万円)
- カテゴリーE:S$ 38,000 (約300万円)
シンガポール政府の管理するオークションによって価格が決まるため、その時々で価格が違います。カテゴリーに応じても微妙に値段が違います。
シンガポールが景気よかったころはCOEだけで500万円くらいしていたらしいですが、最近は下落傾向とのこと。
なぜこうも値段が大きく変わるのか、というと…
シンガポール政府の発行する「COE=権利証」は数が決まっているから。
限られた数のCOEを落札していくイメージなので、需要と供給で価格が決まりますね。
税金②ARF (the Additional Registration Fee)とは?
カローラAltis (東南アジアモデル) |
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内訳 – 車体価格OMV – COE (税金) – ARF (税金) → 今ここの解説! – Excise duty 20% (税金) – GST 7% (税金) – その他いろいろ |
内訳 |
ARFとは”the Additional Registration Fee”の略称。
直訳すると”追加登録費”ですが…
COEを自動車取得税とするなら、ARFは「自動車取得税その2」ですかね。
とにかく自動車を買うときにかかる税金の一種のこと。
累進課税であり以下のような税率が適用されます。
- 車体価格OMVがS$ 20,000以下 = 税率100%
- OMVがS$ 20,000 ~ S$ 30,000 = 税率140%
- OMVがS$ 50,000 ~ = 税率180%
具体的には…
- 例①OMVがS$20,000のカローラ:税率100%
→ ARFはS$20,000 - 例②OMVがS$37,000のベンツCクラス:最初のS$20,000は税率100% + 次の17,000は税率140%
→ ARFはS$43,800
このような計算で税金が発生します。
ただしARFは車を手放すときにリファンドあり(2002年以降にCOE落札された車という制限あり)
最低でも50%がリファンドされます。
- 新車から5年未満:ARF支払額の75%リファンド
- 5-6年:〃70%
- 6-7年:〃65%
- 7-8年:〃60%
- 8-9年:〃55%
- 9-10年:〃50%
税金③Excise Dutyとは?
カローラAltis (東南アジアモデル) |
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内訳 – 車体価格OMV – COE (税金) – ARF (税金) – Excise duty 20% (税金) → 今ここの解説! – GST 7% (税金) – その他いろいろ |
内訳 |
Excise Dutyとは物品税のこと。
シンガポールでは一律7%のGST(消費税みたいなもの)があります。
が、
Excise DutyはGSTとは別に徴収される税金となります。
具体的なExcise Dutyの金額は車体価格OMVにたいして20%になります。
つまりOMVがS$20,000のカローラだと税金はS$4,000になりますね。
シンガポールでは贅沢品や嗜好品にはGSTの他に税金が別途かけられます。
税金④GST (Goods and Services Tax)とは?
こんなにたくさんの税金を払った上、さらにGST (Goods and Services Tax)もかかります。
GSTはすべてのサービス・商品に対して一律に発生する税金のこと。
日本でいうところの消費税みたいなものですね。
シンガポールにおけるGSTの税率は7%で一律。
COEやらAFRがデカすぎて、もはやどうでもいいような金額に過ぎませんけど…
その他・税金じゃないけど必要経費
あとは自動車ディーラーの利益とか、IU (In-Vehicle Unitの略、日本でのETCみたいなもの)の装着代とかいろいろ。
車はあったら便利だけど無くても全然OK
シンガポールにおいて、車は一部のヒトだけが持てる贅沢品です。
日本みたいに誰でも買えるわけではありません。
なんせ大衆車ホンダのフィットですら600万円もするのですから。
じゃあ車がなければどうなるのか?
というとタクシー・公共交通機関だけで生活には何も困りません。
タクシーは安いですし電車もバスも格安です。
車はあったら便利だけど、無くても何も困らないという結論ですね。
https://kankoryokoinfo.com/singapore/taxi-howto/
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