シンガポールで車を買うときに必要な「COE」知識のすべて。
「COEってそもそもなに?」
というところから、
その仕組みやCOE価格推移データ、その他にも必要な税金について。
知識ゼロ初心者にもわかりやすく解説していきます。
COEとは?
シンガポールで車を買うときに必要な「COE」知識のすべて。
そもそもCOEとは”Certificate of Entitlement”の略称。
直訳すると”権利証明書”ですが…
車についての権利証明書のことなので「車の権利証明書」という意味ですね。
新聞やメディアでは「車両所有権証書」という日本人にはなじみの無い言葉が使われています。
ところがそんなに難しいことはなく…
「COE」って要するに日本でいうところの「自動車取得税」みたいな税金のこと。
日本で新車を買うときも車の排気量とかにおうじて「自動車取得税」かかりますよね?
それと同じことです。
ところが「COE ≒ 自動車取得税」の仕組みが日本とだいぶ違うので、なかなか理解に苦しむのです。
そこで仕組みをわかりやすく解説していきますね。
COEの仕組み
シンガポールで車を買うときに必要な「COE」知識のすべて。
つづいてCOEの仕組みについてわかりやすく解説していきます。
仕組み①車のカテゴリーA~Eに応じた税金が発生
COEは車・バイクのカテゴリーに応じてかかる税金です。
具体的には、
- カテゴリーA (排気量1,600ccかつ130bhpまで)
- カテゴリーB (排気量1,600cc以上か130bhp以上)
- カテゴリーC (タクシーなど商用車)
- カテゴリーD (バイク)
- カテゴリーE (オープンその他)
※bhbとは「brake horse power=馬力」の略。1bhp=1馬力のこと。
という5つのカテゴリーに分けられます。それぞれCOE価格はシンガポール政府が行う公開入札によって決まります。
仕組み②COEは入札によって額が決まる
でなんと…
このCOE価格は公開入札(オークション)によって決まります。
税金って私たちのイメージだと、決められた額を決められたように納めるものですよね?
ところがCOEの仕組みはまったく違い、
シンガポール政府がCOE価格(つまり税金の額)を入札によって決めているのですね。
なぜこんな仕組みを採用しているのかというと…
車やバイクの総台数を政府が管理しているから。
たとえばですが、
車の台数は10万台までな!
バイク台数は1万台までな!!
というようにシンガポール政府が決めています(実際の数字とは違います)。
国土のせまいシンガポールで無制限に車を走らせると、すぐにオーバーフローして大渋滞が発生しますからね。
仕組み③COE入札の仕組み
つづいて実際のCOE入札の仕組みについて。
まずCOE入札のコンセプトというか目的は…
「かぎられた車台数のなかで、高い税金を納めるヒトに車の所有権利をあたえよう」
というものです。
資本主義もここまでくると笑えますね。「税金をおおく納める人を優遇します」ってこと。日本とまったく逆です。日本だと高額納税者は冷遇され、低額納税者ほど優遇されますからね。
金持ちこそ優遇する、これがシンガポールの良いところです。
でムダ話はここまでにして…
入札は以下のようなプロセスで行われます。
- ステップ①入札タイミングは月2回ある
→第1月曜日/第3月曜日12:00~その週の水曜日16:00終了 - ステップ②入札に申し込む
→事前に申し込みが必要URL:LTA - ステップ③入札価格を設定
→期間中であれば何回でも設定しなおせる - ステップ④入札終了
→提示価格の高いヒトから順に選ばれる
このようにシンプルな公開入札の仕組みをそのまま使っています。
仕組み④どうやってCOE価格が決まる?
こうして入札が終わると、いよいよCOE価格が決まります。
ポイントとして、
自分がSGD50,000を提示したからといって、その額をそのまま支払うわけではありません。
COE価格は「最落札失敗額の最高値+S$1」で計算されます。
ややこしいので具体例で考えてみましょう。
▼ ケース①
条件1. COE・Aカテゴリーに3の定員があった
条件2. 5名が入札に参加した
▼ 入札結果
提示額 | 結果 | |
入札者A | S$50,000 | 落札 S$10,001 |
B | S$30,000 | 落札 S$10,001 |
C | S$10,000 | × |
D | S$10,000 | × |
E | S$ 5,000 | × |
定員は3名なので入札者A, B2名は落札確定。ここで同額のC,Dはどちらも落選し、あまった1つの枠は次回の入札にもちこされます。
なおCOE価格は「落札失敗額の最高値+S$1」で計算されます。ここではS$10,000が失敗の最高値であるためS$10,001が落札価格となります。
▼ ケース②
条件1. COE・Aカテゴリーに3の定員があった
条件2. 5名が入札に参加した
▼ 入札結果
提示額 | 結果 | |
入札者A | S$50,000 | 落札 S$8,001 |
B | S$30,000 | 落札 S$8,001 |
C | S$10,000 | 落札 S$ 8,001 |
D | S$ 8,000 | × |
E | S$ 5,000 | × |
落札者はA, B, Cの3名に決まります。
COE価格は落札失敗額の最高値+S$1で計算されます。つまりここではS$8,000+S$1=S$8,001が落札価格となります。
決してあなたの提示額=落札額とはなりません。
ここまでがザックリとした入札の仕組み。
本当はもっとこまかく色んなルールがあります。
入札に参加される際にはLATの公式ホームページを事前にご確認ください。すべて英語ですが…
仕組み⑤COE期限は新車10年
シンガポールで車を買うときに必要な「COE」知識のすべて。
あとはCOEの期限について。
新車で買うと10年分の期限がつきます。
仕組み⑥途中で売ったらどうなる?
じゃあ車を10年持たずに途中で売ったらどうなるのか?
というと…
日割り計算でリファンド(キャッシュバック)があります。
たとえば、
・取得時のCOE価格はS$ 30,000
・2020年6月5日にCOE期限切れ
・2018年1月2日に車を手放した
こんなケースだと以下のような計算をします。
- 残り月数:2018年1/3-2020年6/5 = 29ヶ月と3日(29.1ヶ月)
- リファンド:S$30,000 x 29.1ヶ月 / 120ヶ月 = S$7,275
すると使っていない部分のお金が上記のようにかえってきます。
たとえば1年しか乗らずに売るのであれば9割かえってきますね。
車を途中で売る場合には中古車ディーラーがCOEの残り価格も考えて買い取ります。
売るにせよ廃車にするにせよ、実質はリファンドですね。
仕組み⑦中古車を買うときのCOE価格は?
そろそろ疲れてきましたが…
これも重要なので書いておきます。
中古車を買う場合にCOEはどうするのか、というと。
中古車の価格にはCOE価格をもちろんふくみます。
ほとんどの場合には、新たに入札でCOEを購入する必要はありません。
ディーラーの価格表示を見ると、以下のように記載されていますね。
- Toyota カローラ:SGD50,000 (5年分のCOE含む)
- ベンツE200:SGD80,000 (COE 2023年まで込み)
COE価格の推移(2002-2018/3)
ご参考までに。
シンガポールにおけるCOE価格の推移グラフを添付します。
出所:https://coe.sgcharts.com/
ちなみに2018年3月21日に決定したCOE価格は以下のとおり。
- カテゴリーA:S$ 38,000 (約300万円)
:1600cc未満の車 - カテゴリーB:S$ 37,010 (約300万円)
:1600cc超の車 - カテゴリーC:S$ 35,001 (約300万円)
:タクシーなど商用車 - カテゴリーD:S$ 7,602 (約 60万円)
:バイク - カテゴリーE:S$ 38,000 (約300万円)
:その他
車の所有権COEを得るだけでなんと…
300万円ですよ〜〜!!
ピーク時のCOE価格は約800万円
これでも一時期にくらべてだいぶ下がったのですよね。
なんとピーク時には日本円にして800万円ほどだったのですから!!
(今の為替1S$=約80円で)
もうこうなると、どんなしょぼい車であろうと新車である限り1000万円超えるっていう!!
出所:https://coe.sgcharts.com/
シンガポールの景気の悪さをあらわしていますね〜。
COEだけじゃない!色々ある車の税金
ここまではCOEの話をしてきました。
ところがシンガポールで車を買うときには、もっといろいろな税金を払わなければいけません。その辺の話も簡単に。
実際にトヨタ・カローラの価格をもとに進めていきます。
カローラAltisの購入価格: SGD 100,000 (約800万円) |
SGD 100,000 (約800万円) |
内訳 – 車体価格OMV – COE (税金) – ARF (税金) – Excise duty 20% (税金) – GST 7% (税金) – その他いろいろ |
内訳 |